楽天グループが2026年9月4日、Z世代の生成AI利用に関する調査結果を公表した。商品・サービスの検討・購入で生成AIを使う人は54.3%と過半に達し、そのうち44.4%が「比較検討する商品を絞るとき」に利用していた。買い手の情報収集の入り口が、営業と接触するより前に生成AIへと移り始めている。
この記事の要点
- Z世代の54.3%が購買検討で生成AIを利用。うち44.4%は「候補を絞る」場面で使う(楽天調査)。
- 一方で最も信頼される情報源は「検索エンジン」42.1%。AIは絞り込み、信頼は別軸で決まる。
- 中小企業の営業は「AIに拾われる情報整備」と「人が担う信頼構築」の二段構えが要る。
楽天調査で何が分かったか
調査は楽天グループが運営する「楽天学割」ユーザー、15〜25歳の637サンプルを対象に実施された(2026年9月4日発表)。生成AIを「ほぼ毎日利用」する層が38.0%に達し、Z世代にとってAIは特別なツールではなく日常の一部になっている。
注目すべきは購買行動への浸透だ。商品・サービスの検討・購入時に生成AIを「利用している」人は54.3%。使う場面の内訳は次のとおり。
| 生成AIを使う場面 | 利用率 |
|---|---|
| 比較検討する商品を絞るとき | 44.4% |
| 欲しい商品やサービスを探すとき | 27.8% |
| ECサイトを見ながら | 11.3% |
もう一つの数字が重要だ。最も信頼する情報源を聞くと、トップは「検索エンジン」で42.1%。生成AIを日常的に使う世代でも、最終的な信頼はAIの回答そのものには置いていない。AIは候補を絞る道具として使い、信頼は別の軸で判断している。
なぜ中小企業の営業に効くのか
今回の対象はZ世代の消費者だが、示すものはBtoBの営業にも重なる。今のZ世代は数年後に取引先の購買・情報収集を担う層であり、AIで下調べする行動は世代を追って広がる。買い手が営業に会う前に候補を絞り終えているなら、営業が最初に接触した時点で「候補に入っているか」が勝負を分ける。
候補を絞る段階は、従来なら営業が説明で挽回できた場面だった。そこがAIの内側で完結すると、営業が会う前に土俵から外れる企業が出る。一方で信頼源は依然として検索エンジンが1位という結果は、裏を返せば「人や実績で信頼を作る余地」が残っていることを意味する。
営業現場への3つの示唆
AIに拾われる情報を整える
生成AIは公開情報を要約して候補を提示する。自社サイトに料金の目安、導入事例、他社との違いが具体的に書かれていなければ、絞り込みの網に載らない。抽象的な強みではなく、数字と固有名詞で書くほどAIに引用されやすい。
最初の接触で「絞り込み後」を前提にする
問い合わせが来た時点で、相手は既に比較を終えていることが多い。一般的な会社説明から入るより、相手の検討状況を確認し、他社と迷う論点に絞って答えるほうが刺さる。初回接触の質が、候補内の順位を動かす。
信頼はAIで代替せず人が作る
最も信頼される情報源が検索エンジンである以上、最後の一押しはAIの回答では決まらない。デメリットも含めて正直に伝える、実績を具体的に見せる、返信を速くする。人がやる基本の積み重ねが、AIに置き換えられない差になる。
この3点は、担当者の勘に頼らず仕組みで回すほど効く。情報整備と初動の型を標準化し、営業が本来の対話に集中できる体制を作った企業では、FORTIS支援の実績として商談数2.4倍・アップセル2.1倍・対応可能案件1.8倍といった変化が出ている。買い手の行動が変わるほど、体制側の準備が成果を分ける。
買い手のAI活用を営業全体でどう受け止めるかは、AI営業の総合ガイドで体系的に整理している。あわせて確認してほしい。
まとめ
Z世代の過半が購買検討でAIを使い、候補を絞る段階が営業の外側へ動き始めた。一方で信頼は検索エンジンが1位で、人が担う余地は残る。中小企業の営業がやるべきは、AIに拾われる情報整備と、人が作る信頼の二段構えだ。会う前に候補入りし、会ってから順位を上げる。この順番を意識するだけで、買い手の変化は脅威ではなく追い風になる。

