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営業の1on1の進め方|中小企業がメンバーの成果と育成を両立する手順

営業の上司とメンバーが小さなテーブルで1対1の対話をするイラスト 営業DX・組織

営業の成果が担当者の経験や性格に左右され、育成はいつも後回し——。多くの中小企業で、営業の育成は商談同行とたまの指導で止まっている。1on1は、上司とメンバーが定期的に向き合い、成果の数字と日々の行動の両方を扱う対話の場だ。ただ「とりあえず30分話す」だけでは成果は出ない。本記事では、営業組織で1on1を機能させる進め方を、調査データと具体的な手順で整理する。

この記事の要点

  • 1on1の実施率は55.7%。一方で約3人に1人は効果を実感できていない(パーソル総研2025)
  • 成果を分けるのは「頻度と時間」。30〜60分を月2〜3回がもっとも成長実感が高い
  • 営業の1on1は評価面談でも進捗の詰めでもない。主役はメンバー側にある
  • SFAや日報の数字を材料にすると、行動の改善まで踏み込めて商談の質が上がる

なぜ営業に1on1が必要なのか

営業は属人化しやすい職種だ。受注件数や売上といった結果の数字は見えても、提案のどこでつまずいたのか、なぜ失注したのかという過程は、本人の頭の中に残ったまま外に出てこない。担当者が辞めれば、その知見ごと消える。

そこで対話の場をつくる企業は増えている。パーソル総合研究所の調査では、直近半年に1on1を受けた部下は55.7%。ただし「過去にはあったが直近半年はない」が26.9%、「一度もない」が17.5%にのぼる。制度として導入しても、途中で止まったり形だけになったりしているのが実態だ。

結果の数字だけを追う営業管理には弱点がある。新規開拓の種まきや後輩のフォローなど、短期の数字に出ない行動がやせ細る点だ。1on1は、その数字の背景にある行動を扱い、評価だけでは拾えない動きを引き出す場になる。実際、営業プロセスを標準化しツールを定着させた中小企業で、商談数が2.4倍に伸びた例もある(FORTIS支援実績、企業により差あり)。標準化を現場に根づかせるには、一人ひとりと向き合う対話の積み重ねが要る。

1on1と「進捗会議・評価面談」はどう違うか

1on1がうまくいかない原因の多くは、目的の取り違えにある。進捗の詰めや評価の場と混ざると、メンバーは身構えて本音を出さなくなる。次の3つの場を分けて考えたい。

観点 1on1 進捗会議 評価面談
目的 課題解決と育成 案件の確認と判断 成果の評価と処遇
主役 メンバー 案件・数字 上司
頻度 月2〜3回など定例 週次 半期・四半期
扱うテーマ 詰まり・不安・次の一手 数字の進捗 期間の実績

進捗会議は案件を前に進めるための場、評価面談は処遇を決める場だ。1on1だけは、メンバーが主語になる。「今どこで困っているか」を安心して言える関係がないと、過程の情報は出てこない。

成果を分けるのは「頻度」と「時間」

やればいい、というものではない。同じ調査で、1on1のやり方と部下の成長実感(10点満点)には明確な差が出た。30〜60分を月2〜3回以上のペースで続けるグループが7.4ともっとも高く、1回1時間以上かける長時間型は6.0ともっとも低い。長く話せば深まるわけではなく、短く何度も、が効く。

ところが現実の平均実施頻度は月0.8回。多くの職場で足りていない。きっかけ別に見ると、部下から希望して始めた場合は月2.8回、上司発信で1.8回、会社から指示されての実施は0.5回にとどまる。やらされ感のある1on1は続かない。

部下から見た1on1の実施状況 直近半年に実施 55.7% 過去はあったが直近なし 26.9% 一度もない 17.5%
出典:パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」(2025年2月)

営業の1on1の進め方:5つのステップ

1

目的を1つに絞る

評価でも案件の詰めでもなく、「メンバーの課題解決と育成」に目的を固定する。冒頭で「これは評価の場ではない」と伝えるだけで、話す内容が変わる。

2

数字を事前に見ておく

SFAや日報から、商談数・受注率・停滞している案件を事前に把握する。手ぶらで臨むと雑談か近況報告で終わる。数字は責める材料ではなく、話の入り口として使う。

3

問いで引き出す

「どの商談で詰まったか」「次に何を試すつもりか」と問い、本人に考えさせる。調査では上司と部下で「どちらが話しているか」の認識にズレがある。上司が話しすぎない設計が要る。

4

次の行動を1つ決める

「頑張ろう」で終わらせない。翌週までに試す具体的な行動を1つ、本人の言葉で決める。例:失注顧客3社に再アプローチ、トークの冒頭を変えて5件架電、など。

5

記録して次回につなぐ

決めた行動と気づきを短く記録する。次回はその振り返りから始める。点の面談を線にすることで、育成の進み具合が追える。SFAのメモ欄や共有シートで十分だ。

この5つは、ツールや制度より先に「型」を決める話だ。営業DXの一環として仕組み化するなら、営業DXの進め方の全体像とあわせて、どの業務をツールに任せ、どこを人の対話で担うかを整理しておくと迷わない。

ありがちな失敗と回避策

導入した企業がつまずく型は、だいたい決まっている。

  • 進捗確認で終わる……「案件どう?」だけで時間が過ぎる。事前に数字を見て、問いを2〜3個用意しておく。
  • 上司が話しすぎる……アドバイスで埋めてしまう。話す比率は部下7・上司3を目安に、まず聞く。
  • 不定期で頻度が足りない……忙しさで飛ばすと形骸化する。30分でもいいので日時を固定し、月2回を下限にする。
  • 評価と混同する……処遇の話が混ざると本音が消える。評価面談とは時期も目的も分ける。

どれも、目的を「育成」に絞り切れていないことが根っこにある。回数を増やす前に、1回の目的を揃えるほうが先だ。

まとめ

営業の1on1は、特別な制度ではなく、成果と育成をつなぐ定例の対話にすぎない。押さえる点は3つ。目的をメンバーの育成に絞ること、短く何度も続けること、毎回「次の行動」を1つ決めること。SFAや日報の数字を材料にすれば、営業の1on1は精神論から具体策に変わる。まずは一人、月2回30分から始めてみてほしい。

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