- Googleが2026年9月2日、低コスト・高速モデル「Gemini 3.8 Flash」を公開した。
- 導入価格は3.7 Flash据え置き。ただし2027年1月1日から料金は倍額になる。
- 名目単価が同じでも、出力トークンが増える設計のため実コストは膨らみうる。
- 中小企業は「値上げ前に用途を絞る・使用量を測る・他社と比べる」の3点を今のうちに決めておきたい。
何が発表されたか
Googleは2026年9月2日、生成AI「Gemini」の高速・低コスト版であるGemini 3.8 Flashを公開した。8月13日の3.7 Flashからわずか約20日での後継リリースになる。開発者向けのGemini API、企業向けのGemini Enterprise、一般ユーザー向けのGeminiアプリ・検索・Google Sheetsで順次使えるようになった(出典:Google DeepMind 公式発表)。
性能は前世代から着実に伸びた。総合的な知識推論の指標HLE-Verifiedは54.9%(3.7 Flashは53.6%)、金融業務を想定したVals Finance Agent v2では61.4%を記録した(出典:Google公式ベンチマーク)。日常の調査・要約・下書きといった営業まわりのタスクでは、体感差より「安定して外さない」方向の改善が中心だ。
なぜ重要か:値上げが予告されている
今回のニュースで営業現場が押さえるべきは、性能より料金の時限設定である。導入価格は2026年12月31日まで3.7 Flashと同額に据え置かれるが、2027年1月1日から倍額に切り替わることが公式に告知されている。
| 100万トークンあたり(Standard) | 2026年内(導入価格) | 2027年1月〜 |
|---|---|---|
| 入力 | 0.75ドル | 1.50ドル |
| 出力 | 3.75ドル | 7.50ドル |
さらに3.8 Flashは「複雑な問いには深く考える」設計で、難しいタスクほど出力トークンが増えやすい。名目単価が同じでも、生成量が増えれば1件あたりの実コストは上がる。単価表だけを見て「据え置きだから大丈夫」と判断すると、請求額で足をすくわれかねない。
中小企業の営業現場への示唆:値上げ前に決める3点
限られた予算でAIを使う中小企業ほど、料金が動く節目は準備の好機になる。次の3点を年内に固めておきたい。
全業務に薄く広げず、リスト作成・議事録要約・メール下書きなど時間を食う定型作業に集中投下する。使う場面を絞れば、値上げ後もコストが読める。
導入価格の間に、月あたりのトークン消費と1件あたりの単価を記録しておく。基準値があれば、2027年の倍額が自社にいくら効くかを事前に試算できる。
主要各社が短い間隔でモデルと価格を更新している。用途ごとに切り替えられる状態にしておけば、値上げや性能差に振り回されにくい。
もっとも、ツールを入れ替えても営業の型が曖昧なままでは成果は出にくい。どの業務を誰が担い、AIにどこまで任せるかを決めることが先だ。FORTIS JAPANの支援では、この分担を整えたうえでAIを組み込んだ結果、商談数2.4倍・アップセル2.1倍・対応可能案件1.8倍という改善につながった事例がある。AI活用の全体像はAIを営業に活用する方法|中小企業向け完全ガイドにまとめている。
まとめ
Gemini 3.8 Flashは性能を伸ばしつつ、料金の値上げ時期をあらかじめ示した。中小企業にとっての宿題は、モデルの新旧より「値上げ前にコストの土台を固めること」だ。用途を絞り、使用量を測り、1社に依存しない。この3点を年内に済ませておけば、2027年の料金改定も慌てずに乗り切れる。

